< 老々介護予行演習中 > 見谷メディカルサービス さわらび A・W
私は、昨年44年間のサラリーマン人生を終えました。実社会生活から遠のくことに恐怖心があり、ハローワークに出向きました。
持っている資格で一番使えるのは自動車運転免許証のため、送迎・運輸で探しました。長年、営業をやっていたため人との接点がないのも淋しいと思い、介護施設の送迎で検索してもらい、本施設の紹介を受けました。
面接時は介護に関しては全く知識がなく、デイケアとショートステイの違いも分かってなく、同じものと考えていたので、一時間ぐらいで終わることもありますと言われ、送迎数は少ないなと思っていたくらいです。実勤務に入り、やっと違いが分かりました。現在、人に仕事を訊ねられると、介護施設のホテル版です、と説明しております。実際デイケアと違い、毎日送迎する方や、向かう場所、方面も違い、事前の組み立て(回る順番と使用車両、座席の配分)が必要で、考えることが多く自分自身の呆け防止に役立っています。
しかし、高齢の方々を乗せての運転は神経を使い、かつ車両のサイズ、伺う先の道路事情等があり、初めのころは下見しながら胃薬を飲んでいました。慣れるに従い利用頻度の高い方とは顔見知りとなり、会話をする機会も増えました。私の91歳の母と同世代の方が多く、母との会話や接する際の参考になりました。実際の介護現場に立ち会っていると、老々介護への意識が強くなってきました。副産物として、懐かしい人との再会がありました。利用者のご家族がお見送り、お出迎えに出られ、その方が偶然、高校の同級生や知人であったことです。50年ぶりの方もいました。
最近よく思うのは、体内時計の関係で一年があっと言う間に過ぎていくように感じ、いつかは自分もこの送迎車に乗せられる立場になる、ということです。その前に、母の介護、妻の介護、または自分自身、いずれが先になるか、後になるかは時間の問題かと思っています。この施設では、働くこと以外に、高齢者と接することで老々介護の認識が強くなり、現在予行演習の真っ只中のような気がします。
日本の人口の3割が高齢者の時代、必ず自分自身も高齢者となり、日常生活に支障が出てきて介護のお世話になる時がきます。いずれにせよ、勤務させていただき、近未来の疑似体験までさせていただける貴重な職種と思っています。
今後も安全安心快適送迎をこころがけ、実務に邁進いたします。